2007年10月27日。ついに隣雅夫ソロアルバム「歩歩/水明」(ホホブンノスイミョウ)が発売となった。

僕が生まれる前、1970年初頭から音楽に携わっていた隣さんと数十年という年月を越え巡りあい、こうしてひとつの仕事、作品を成す事が出来たのも、芸術を通じて巡り逢えたからにほかならない。

これまで出会えた方々、そしてこれから先、出会うであろう方々、また、僕自身が僕自身であり続けるための手段として、僕はアート<芸術>を選んで本当に良かったと想っている。
厳しく、楽な事のほうが少ない世界であったとしても、それでも、この奇妙な縁と歩み続ける方々と重なる足跡に、深く感謝したい。

今回、隣さんがこちら「SOCO-COCO」でインタビュー連載をしているという事で、僕のtalk log上にもアップしているジャケットデザインについて、少し加筆をお贈りする。

僕は本格的に絵を描こうと思ってからはまだ十数年ほどしか経っていない。
現在では墨以外の画材や、コラージュ、ロゴ、グラフィックデザインなど色々やっているけど、アートワークの始まりは“水墨画”である。

経験や知識もこの始まりに至る過程なのだけど、そうした意味を抜きに何ともなく、気が向いた日、たまたま和紙と墨を近所で買い、気分のまま想いを描いた日から、四君子に始まる運筆法、花鳥山水に広がり、現在の画風にも墨を取り入れ続けている。
これから自分の画題にどういった変化が訪れるかはわからないが、色々と楽しみになることばかりだ。

今回のジャケット制作にあたっては前回の「DATETENRYU-COOL FLYING DRAGON」と違い、キャップからレーベル面までトータルにデザインさせていただいた。

表の水墨画は古典画の技法を省き、コンテンポラリーアートに近いのだけど、使った画材は墨と水のみ。
始めに水の表面張力だけで描き、そこにインクを引く。
さらに水とインクのグラデーションを筆で揺らめかせながら空気の流れを作る。
といったもの。

中身は、オールグラフィックでドローイングの線をシンプルに反映させた。
当初はビビッドに、鮮烈と沸き上がる赤のような色合いを検討していたのだけど、全ての色素を含む上であえて限りなく白に近いグレーとした。
月明かりのそれか、衛星から反射した太陽光のそれか。

僕の住む東京都下の田舎街では、今夜も随分と星々が満ちている。ふと、昨晩の雨に湿る落ち葉の香りと冷たい夜風に交わるように、郷愁の想いが積もる。
そして、ふと空を見上げるとかのような色が浮かぶのだ。

そして、遠く、醍醍寺の情景を浮かべながら、
それは時に、白夜のように、夕闇のように、様々な色を想い浮かべていただけたらと想う。
隣雅夫ソロアルバム
「歩歩/水明」(ホホブンノスイミョウ)

当初のアートワークは古典の技法を中心に。

当時のアトリエは墨と水のみ。

最近のアトリエの様子。

COLLECTION "Beloved Stain"

COLLECTIONS "incense"
柏原 晋平/Shinpei KASHIHARA
画家・デザイナー/Artist, Designer

SIGG(スイス)ボトルパッケージ・デザイン。スターバックスコーヒー「タンブラー」デザイン。ローランド・グッズデザイン。東京代々木第一体育館、世田谷美術館20周年記念イベントでのライブペイント出演など、雑誌、広告、CDジャケットのイラストレーションから、デザイン、アートディレクションに至るまで制作。オリエンタル―東洋的なテイストを主に画家・デザイナーとして様々な企業との仕事を手がける。2007年、国内外の個展"incense"では高い評価を得ている。

http://www.kashiharashinpei.com/
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